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「ねえ、なんで榊君は、髪黒いのに、瞳は蒼なの?」
いつのまにか、質問コーナーが始まっていた。
鬱陶しい。
しかも、女子が群れている。
私の席の隣で。
何で例によって私の隣なんだ、と思ってもしょうがない。
これも全部、あの担任のせいなんだ!
いらいらする。
何で昨日、こんな奴のために・・・。
「あぁ、俺、クウォーターなんだ。」
そうなのか。
って、何感心してるんだ、私。
じっと、こいつの顔を見てみる。
笑顔が引きつっている。
よく見てみると、あからさまにアプローチをしている奴がいる。
メアド押し付けたり、聞かれてもいないのに自己紹介したり。
しかもかなりブスだったりする。
あるいは、いかにもチャラチャラしてたり。
まあ、あんなひとたちにいきなり質問攻めされたら、普通は嫌がるだろうけど。
一部の人を除いて。
案外、こういうのに慣れていないのかも。
苦笑いばっか。
でも不快感がしない。
さらさらと光を通す、黒い髪。
本当に、透き通るような、蒼い瞳・・・
って、さっきからなんでこいつを見てるんだ?
自分の行動がわからない。
考えていることもわかんない。
昨日は、こんなに見ることもできなかったのに。
目をそらして机に突っ伏して、腕を伸ばす。
「はぁー」
本当につまらない。
まあ、いつもだけど。
後、変な感じ。
隣の席では、本当にいやそうな顔があった。
キーンコンカーンコーン
授業が始まる。
隣の席でうじゃうじゃしていた女子が各自の席に戻っていき、やっと一息つけた。
これから毎日こうなのか?
ほんと疲れる。
どうなることやら。
数学の道具を用意する。
「ねえ、神崎さん」
なんか話しかけてきた。
いつもどおりの顔で返事をする。
「なに?」
「あれ、なんか俺、怒らすようなことした?」
どうやら、怒っていると勘違いをしたようだ。
なんか朝同じようなこと聞いたような・・・
「別に。してないと思うよ」
「そっか、よかった。あのさ、勉強どこまで進んでる?」
先生に聞けよ、と本音は言わずに、教科書を取り出して、
「えっと、このページから、ここまで!」
めんどくさいのを我慢して、てきぱきと教える。
「サンキュ」
大体分かったらしく、さっきとは違った、本物の笑顔を返した。
へんなの。
さっきは苦笑いだったのに。
まあ、転校生だから、まだ何も知らないんだなぁなどと思っていると、いきなり隣の席の人が指名された。
「じゃあ榊、この問題とけるか?」
何?
この教師、転校生にいきなり問題を出すのか。
「はい。分かりました」
って頷いてるし、黒板に答えを書きにいってるし。
「できました」
すぐにチョークを置いて言った。
かなりはやかった。
ちゃんと解けてるし。
しかも結構難しいぞ、この問題。
しかし何事も無かったかのように立っている。
数学教師が渋々採点をする。
「・・・正解だ。前の学校で、習ったのか?」
「いいえ。でもこの程度なら、考えたら分かります」
おぉ〜、と喝采が起こる。
こいつすげーとみんな思ってるはず。
でも、実は私もそうだったわけで。
二ヶ月前に、同じ光景があったのでした。
でも、
みんなのまえで愛想笑いをしてるあいつを見ていると、変な気持ちになった。
全ての授業が終わったときには、心身ともにくたくたになっていた。
今日は葵がすぐには来なかった。
気持ちが楽になっていた。
その代わり、
「へ、なって言った?」
「部活、何入ってる?」
こいつか。
めんどくさそうに答える。
「えーとねえ、音楽部」
そういえば
「部室って、音楽室?」
「そうだけど・・・」
聞いてどうすんだよ。
昨日私が”そこ”にいたこと、知ってるくせに。
「そうなんだ」
また、純粋な笑顔があった。蒼い目がきらきらしている。
「えーと、榊君はどこの部に入ろうと思ってんの?」
なんかいやな予感再び。
「実は・・・音楽室に連れてってくれる?」
やっぱり。
とんでもない日々が幕を開けたようだ。
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